衆道剣風録~契りの剣 二 血闘!百済廃寺
作兵衛が左八艘に剣を上げるのと静音が両手を順に持ち帰るのと同時であった。そして同時にそれが振り下ろされる。静音は無心であった。
ごきという不気味な音がして両者の動きが止まった!
作兵衛の剣は静音の胴を斬る寸前に止まっていた。そして静音の太刀は作兵衛の頭を真っ二つに両断し首まで沈んでいたのだ!
迸る血飛沫に静音は血まみれになり、額から被った血潮が頬を通り口に入った。そして長い首に幾条もの筋が垂れまるで血の首釧(くしろ)の様に見える。
目を剥いてその顛末を見ていた三人の若者は、憤怒の顔の興福寺少年阿修羅像が降臨したと考えた。
「ああーっ!人間ではない!逃げろ!」
裕之助達は命からがら一目散に逃げることとなった。
知らせを聞いて内藤上総と古性家の男どもが百済廃寺に着いた時、もう静音の姿は無かった。そこには頭を割られて絶命した伊那作兵衛の骸が、胸に手を合わせて横たわっていただけだった。
衆道剣風録 二 了
ごきという不気味な音がして両者の動きが止まった!
作兵衛の剣は静音の胴を斬る寸前に止まっていた。そして静音の太刀は作兵衛の頭を真っ二つに両断し首まで沈んでいたのだ!
迸る血飛沫に静音は血まみれになり、額から被った血潮が頬を通り口に入った。そして長い首に幾条もの筋が垂れまるで血の首釧(くしろ)の様に見える。
目を剥いてその顛末を見ていた三人の若者は、憤怒の顔の興福寺少年阿修羅像が降臨したと考えた。
「ああーっ!人間ではない!逃げろ!」
裕之助達は命からがら一目散に逃げることとなった。
知らせを聞いて内藤上総と古性家の男どもが百済廃寺に着いた時、もう静音の姿は無かった。そこには頭を割られて絶命した伊那作兵衛の骸が、胸に手を合わせて横たわっていただけだった。
衆道剣風録 二 了