奪ってKiss
そのまま通り過ぎようとした時、
「先輩…っ!」
私に、真っ直ぐ届く声が聞こえた。
その声に、一瞬止まってしまったけれど…
「俺…」
どうしたらいいか分からなかった私は…
「先輩…!!」
逃げたんだ。
苦しいっていう気持ちから。
そのまま私は、教室まで走って行った。
「真美、おはよう…って、どうしたの!?」
「ゆ…うちゃん…」
息を必死に整える私に、ハンカチを差し出す優ちゃん。
その行為がよくわからず顔をあげると…
「泣いてる…」
頬に手を当てると
冷たい、濡れた感触があった。