奪ってKiss
その震えが杉浦くんに伝わったのか、一瞬、掴んでいる手の力がゆるんだのがわかった。
杉浦くんはそのまま手を離して、
「…すみません…でした」
と、頭を下げた。
見ているのが苦しかった。
すごく辛そうな表情に胸が痛くなった。
まだ頭を上げない杉浦くん。
下を向いたその時、
「……っ」
雨のようにポツンと、涙が地面に吸収されるように落ちていった。
「本当に…すみませんでした…」
声も震えてて、泣いているんだとわかった。