奪ってKiss




そしてドアに手をかけようとした時、




「わっ!」




ドアがいきなり開いて…




「あ…」




私は、一瞬、動けなくなってしまった。




「こんにちは」




そう爽やかに階段を降りていく杉浦くん。




すごくあっさり。




まるで何もなかったみたいに。




や、別にいいんだけど。




少し、ズキッて心が音を立てた。




けど、気のせいと言い聞かせた。




もう何とも思ってない。




気まずいかと思っただけ。




なのにあんなあっさりで、戸惑ったのが私だけで、悔しかっただけ。




そう、きっと悔しかっただけなんだ―…





< 174 / 218 >

この作品をシェア

pagetop