奪ってKiss
「亮爾…」
亮爾に手を引かれ立たされた私。
「ほら、早く行けよ。俺の気持ちが変わる前に」
そう背を向ける亮爾に、
ありがとう、と心の中で言って、亮爾の家を出た。
こんなに私のことを…
私の幸せを思ってくれる人。
勇気を出さなきゃ。
そう思った私は、杉浦くんに会うために、学校へ向かった。
学校に着くと、たまに杉浦くんと一緒にいる男の子を見かけた。
「あの…!杉浦くん、どこにいるか知ってますか?」
そう聞くと、
「あぁ~、きっと屋上で…」
屋上と聞いて、その後を聞かずに私は、
「ありがとう!」
と、走って屋上に向かった。
“今は行かない方がいい”と言う言葉を聞く前に。