奪ってKiss




それから、亮爾は私が泣き止むまで、ただ、ずっと側に居てくれた。




家に帰って顔を見ると、泣き腫らした跡が、痛いほど赤くなっていた。




「ひどい顔…」




私は氷水で顔を冷やした。




学校…




行きたくないなぁ…




気が付けば、私は夢に酔っていた。






翌日。




瞼越しの眩しさに、目が覚めた。




どんなことがあっても来る朝。




なんで朝ってくるんだろう。




鏡を見ると、赤く腫れていた顔は、だいぶ腫れが治っていた。




「はぁ…」




無意識のうちに空気と一体化するため息。




ため息をつくと、幸せは逃げていくって言うけど、つかなくても、もうとっくに逃げてるよ…




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