奪ってKiss





我にかえった私は、服の袖で思い切り拭いた。




その様子を見て、




「ひどいなぁ。まぁ、そういう強気なところも好きですけど。」




と、笑って言った。




私はそれから杉浦くんと目を合わさないように、景色を黙々と見ていた。




杉浦くんも、反対側の景色を見ていた。




帰りの電車も静かで…




「気をつけてくださいね。それではまた明日。」




私のおりる駅に着くと、杉浦くんはそう言った。




私は電車からおり、振り向かず、




「それじゃあ…」




と、言って帰った。





< 39 / 218 >

この作品をシェア

pagetop