奪ってKiss
我にかえった私は、服の袖で思い切り拭いた。
その様子を見て、
「ひどいなぁ。まぁ、そういう強気なところも好きですけど。」
と、笑って言った。
私はそれから杉浦くんと目を合わさないように、景色を黙々と見ていた。
杉浦くんも、反対側の景色を見ていた。
帰りの電車も静かで…
「気をつけてくださいね。それではまた明日。」
私のおりる駅に着くと、杉浦くんはそう言った。
私は電車からおり、振り向かず、
「それじゃあ…」
と、言って帰った。