奪ってKiss





「大丈夫ですか?」




そう杉浦くんが片腕で私を起こしてくれた。





「うん…大丈夫…」





あ…あれ…?




「貸してください。大丈夫ですから。」




そう言って袋を私から取って…




「俺、男ですから。」




振り返って、行きましょうって何もなかったように歩き出した。




まただ…




けど…




ドキドキするのは…




転びそうになったことにドキドキしたから。




その余韻。




私は少し前を歩く杉浦くんの後を追った。





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