奪ってKiss
「うちの奴に手を出すな」
前田先輩が睨みをきかす。
「うちの奴って亮爾のじゃねぇんだろ?」
あ…れ…?
先輩の知り合い…?
「とりあえず、手を出すな」
先輩はそう言って私の手を引いていく。
少し離れたところに来たとき、先輩がいきなり止まった。
そして、
「ごめん。大丈夫だったか?」
そう心配そうに顔を覗きこんで言った。
「はい…怖かったけど、先輩が来てくれたから…」
そう言った瞬間、私は息をするのを忘れた。
だって…
「せ…んぱい…?」
私がいるのは…
先輩の腕の中だから。
私…
先輩に抱きしめられてる…?