奪ってKiss




「直樹は何の用?」




前田先輩だった。




「あぁ…和樹が女の子の手を引いて出ていくの見えたから着けた」




着けたって…




「じゃあ、俺も戻るから。戻ろっか、真美ちゃん」




さっきまでの鋭い視線ではなく優しい瞳で手を差し伸べてくれた。




ドキッとしながら手を伸ばす。




そして重なる手―…




私は顔があげられないまま。




戻ると、




「それじゃあ、また明日」




そう言って去っていく先輩。




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