『natural source』(naturally番外編)
「まだ間に合うぜ?」


わたしの震える手を取り、ランシェ様がじっとわたしの瞳を見つめてこう言った。


「離してっ! この為に! この時の為にわたしは薬師になったのっ……っ!?」

「違うぞ。取り消せ」

「は、はぁっ!?」


わたしの言葉をまたしても唇で遮ったかと思えば、今度はやけに真面目な顔して取り消しを要求してきた。


はっきり言って意味がわかんない……。


「てめぇが薬師になったのはこの俺様に逢う為に決まってんだろっ」



この人はなんでこんなときに真剣な顔して冗談が言えるんだろ……。


それとも嫌がらせ?

はたまた……本気だったりする?


「何言ってんの!? とうとう頭完全におかしくなった!? バカじゃないっ!?」

「ぅるせえっ! もっかい口塞ぐぞ! あぁんっ?」


こう言って無駄に顔を近づけてくる。


そんなにキスが好きなの?


それとも……ホントにわたしが好きだったりするの……?



「それが惚れた女にとる態度なわけっ?」

「惚れた~? 惚れさせてやったんだよっ! 俺様がなっ!」

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