『natural source』(naturally番外編)
そんな二人を微笑ましげに見つめたリンが、
「シュリちゃんは可愛がられる天才なのよっ。いつだったかシュリちゃんが熱出したコトあったでしょ? あの時のシューゴの慌てっぷりったら……」
懐かしそうに目を細めたかと思えば、何を思い出したのか、呆れたように小さく溜め息を漏らした。
あれは、数年前。
まだリンがひ弱なシューゴの侍女で、アンジュが王家専属薬師で自信過剰バカのランシェにちょっかいをかけられ、親兵だったショウがじゃじゃ馬シュリに手を焼いていた頃。
珍しく、シュリが高熱を出してしまったことがあった。
「えっ!? シュリが熱をっ!?」
「えぇ。侍医の方がただの風邪だと……」
「悪い病気だったらどうしよっ!」
「……シューゴ様?」
リンから聞かされた妹の熱に、完全に気が動転してしまったシューゴは散々悩んだ挙げ句……、
「死なないで……シュリ」
「シューゴ様っ!?」
自分も熱を出してそのままぶっ倒れてしまったという……。
「シューゴ兄さん……恥ずかしい」
今になって聞かされた兄バカっぷりに、思わずシュリの頬が真っ赤に染まった。