『natural source』(naturally番外編)
「それからずっと後ろについて回って大変だったんだから」
「ランシェ兄さんまで……」
次々と明るみになる兄たちのバカっぷりに、シュリはもう耳まで真っ赤になってしまっている。
しかし、話はこれだけには収まらなかった。
「何言ってんの、シュリちゃん。あの時一番大変だったのはショウさんよっ」
「そうそう。シュリが部屋でじっとしてないから……」
義姉たちの話で朧気だった記憶が、段々と鮮明に蘇ってきた。
高熱で安静を強いられていたのが退屈で仕方なくて、
「……お嬢様」
部屋から抜け出したものの、体は正直に不調を訴えて、気分が悪くなってしまったのだ。
庭の片隅に座り込んで居たのを、数分もしないうちにショウに見つけられてしまった。
「もう治ったわ」
いつもの変わらないショウの無表情がどこか心配そうに見えて、嬉しくなってしまう。
だから、これ以上心配をかけまいと精一杯気丈に振る舞って立ち上がったのに、
「これで三回目ですよ」
あっさりショウに抱き止められて、またすぐにバレてしまった。