『natural source』(naturally番外編)

そしてきっとまた、このまま自分を抱き上げて部屋のベッドまで連れていってくれる。


だから、部屋を飛び出すのは止められない。


なんて密かな期待感は、


「いい加減にしてください」


いつもより厳しい眼差しをしたショウの言葉で、打ち破られてしまった。


あぁ……。
とうとう怒らせてしまったんだ。



身を預けていたショウの腕の中で、しょぼくれたように顔を伏せた時だった。



「……あまり心配させないでください」



小さく呟くなりギュッと腕に力が入り、顔がショウの胸元に押し当てられる感覚に胸が高鳴った。



その後はショウは、やっぱり自分を抱き上げて、部屋のベッドまで運んでくれた。


去り際。

背を向けたショウの服を引っ張り、


「……眠るまで居て?」



驚いて振り向いた顔に告げると、一瞬小さく笑い、ずっと優しく髪を撫でてくれた。




思えばずっと、自分はショウに甘えてばかり居たんだなと、改めて実感してしまう。
< 65 / 95 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop