『natural source』(naturally番外編)

自分の手に重なったショウの手のひらの温度に、チラッと顔を上げれば、


「ショウ……」


少し下から自分の顔を窺っているショウの顔があって、気弱になったシュリの目にぶわっと涙が溜まっていく。



それに気付いたショウが手を伸ばそうとした時、


「ショウ! ランシェと試合したんだろっ? 俺の相手もしろよっ!」


勢い良く開いた扉から現れたのは、無粋にも剣を片手に持った父リューシュだった。


唖然とする娘夫婦に構わず、試合をせがむリューシュは、


「ダメよ。ランシェ相手にも気を遣ってくれてるのに、リューシュが相手だったらもっと気を遣うでしょっ」


背後から現れた母に窘められ、そのままズルズルと部屋から引っ張り出されて行った。


「……すごいな」


男性一人を引っ張って行ってしまうシェナの腕力に、感心するショウの正面でシュリの表情はますます暗くなってしまう。


「ショウに迷惑ばっかりかけてる……」


自分を含めた兄たちに、挙げ句は父親までが迷惑をかけてるコトにシュリの胸はさっきから苦しくて仕方ない。
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