『natural source』(naturally番外編)
「そんなこと言ったらウチだって、ランシェの嘘から出た誠で結婚に至ったようなものだし……」


リンの憂い顔で自分のプロポーズのシチュエーションを思い出したのか。


ポツリと呟いたアンジュの表情もリンに負けないくらいの憂いを帯び始めていた。


ロマンチックさの欠けたプロポーズを思い出し、テンションの下がっていくリンとアンジュをシュリはアップルティー片手に交互に見つめる。


そんなシュリを二人の視線が同時に捕らえ、


「……で?」


「うん?」


「ショウさんはシュリにどーんなプロポーズをしてくれちゃったワケ?」


さっきまでの憂い顔を一変させ、ニンマリとお揃いの顔でシュリへと話題を振った。


リンとアンジュのショウへの興味はシュリがキョトンとするくらい強い。


二人がかりで食い入るように見つめられてはシュリも話さざるを得ない。


「ウチもシチュエーションは全然ロマンチックじゃなかったわ」


こう言ってシュリはゆっくりと心の中に大切に仕舞っていた想い出を紐解き始めた。
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