『natural source』(naturally番外編)
「お父上や伯父上の評判には関わりますよ」
「あの人たちがそんなことを気にする人たちだと思う?」
「いえ。全く」
おおらかなマーセルの国を象徴するかのように、王家の人間もおおらかで寛大な人物が多い。
きっとシュリが貴族を蔑ろにしたと聞いた所で、
「相変わらずシュリはじゃじゃ馬だな~。そんなんじゃ嫁の貰い手が見つからんぞ」
……と、父も伯父たちも笑って終わるのがオチだ。
それは言わずもがなでショウにもわかっていたことだった。
「ならいいでしょ。それより良い天気だから中庭に行きたいわ」
こう言って懲りずに意気揚々と腕に飛び付くシュリを、今度は溜め息と諦めの表情でショウは受け入れる。
「紅茶せっかく用意してくれたのに、無駄にしちゃってごめんね」
入口でポカンと二人のやりとりを見ていた侍女に詫びを入れ、
「ショウ! 早く行きましょ」
急かすように近衛兵の手を引く姿は、さっきまで貴族たちをあしらってた人と同じとは思えないくらい無邪気で可愛らしい……と、侍女は思ったのだった。