僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
そんなこんなで、家に着くと、茜は真っすぐ玄関へと向かった。


適当に話をしながらの、その道のりは、あっという間だった気もする。


それだけ会話がはずんだってことだろう。


それなのに、素っ気なく家に入ろうとする茜に、
なぜか、もの寂しさを感じた徳幸は、

「あ、先にトイレ行っとこ。」


わざと声に出して言っていた。


「はーい。どうぞぉ。」


扉を大きく開け、徳幸を迎え入れる茜。


トイレと言ったからには
まずはトイレに入った。


そのあとは、
どうするもなにも、
防音室に行くだけだ。


特に何か考えなくとも、
気を使うこともない。


ただ“トイレを借りた”それだけだ。


「よしっと。」


トイレから出て、なんとなくリビングの方を見る徳幸。


が、物音ひとつしない。


とりあえず靴を履き、

「お邪魔しました。」

と、玄関の扉のノブに手をかけた時、


「あ、トク!」


茜が部屋から出てきて言った。


「これ、張っとく?」


茜の手には、湿布薬とはさみがあった。
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