僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
ミスる度に、皆から視線を浴び、
ペロッと舌を出してみせる徳幸。


そして、
自分の後ろでキーボードを弾く、波多野の方も向き、

「ごめん!」

と、声をかける。


すると波多野は、
ニコニコしながら、細かく数回頷いてみせた。


その表情に、思わず微笑み返す徳幸。


その様子を、
茜も律子も見逃しはしなかった。


そこからは、無心でギターに集中し、
なんとか、曲が終わった時、


「ダメじゃんトク!」


誰よりも先に、
茜がダメ出しをしたのだった。


名指しで、しかも、あだ名を呼び捨てで…


それには一瞬、皆が黙って茜を見た。


「なんだよ茜ちゃん!ヤケに親し気じゃん!」


神戸が、空かさずツッコミをいれると、


「うん。なんかあたし、トクのこと好きになっちゃったみたい!」


「…え〜!!!」


皆が驚くのもムリもない。


その前の出来事のことなど知らない皆は、
徳幸と茜の接点を知らないのだから。 


そして何より、
一番驚いていたのは、
やはり、徳幸だった。

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