僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
そんなやりとりを思い出して…


その悪戦苦闘中のベーシストが、光一のことだと言うことを
徳幸が確信したのは、
防音室のドアが開いた、
今日だった。


「あれ?」


そう、
あとから来ることになっていた光一と一緒に、

吹奏学部兼キーボードの
波多野 香織も入ってきて、

「なぁに?ココに入っちゃったの?」

と、彼女の驚くその声に


「おまえの情報、ビンゴだよ!」

と、碧人は言った。


どうやら、この女は、
徳幸を紹介してくれていたワケではなさそうだ。


「結局、来年も1バンドしか居ないんじゃ、軽音部の存続が怪しいじゃん!」

「だから、文化祭で最高の舞台をブチカマシて、ソレを観て部員希望者が増えれば」

「あたしと光一の、涙ぐましい胡麻すり効果のほうが有望なんじゃないの?」

「言っとくけど、このことは光一も知ってたから!」

「…どいつもこいつも、あたしに内緒でコソコソと…あたしのことなんだと思ってるわけ〜?!」

「だから、感謝してるって!なぁ!」


一瞬、バツが悪かった徳幸だったが、

帰る頃には、
すっかりバンドの一員として、その輪に溶け込めたように思えていた。



しばらくして

「あたし、そろそろ帰らないと。」

と、波多野は言い出した。
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