僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
徳幸らが進学したということは、

茜は高校生になったということになる。


茜の場合は、中高一貫なので、
今回“合格おめでとう!”が無く、あっさりと通過してしまっていた。


でも、徳幸自身がそうだった様に、
中学生と高校生とでは、人それぞれ、何かが違い、
しかも、それはすべて、
自分次第で、どうにでも転がっていく…


この歳で、もう、そんな立場であることに、
“どーってことない”と思うか、
“早すぎる?”と思うのか、
それすら自分に委ねられるのだ。


大人でも子供でもない、
この世界へ足を踏み入れた茜に、
徳幸は、
“おめでとう”と“ようこそ”
と、あとひとつ…

年齢だけでじゃなく、
心の成長を願う気持ちを
どう言い表わしたものか分からないが、
何か伝えたくていた。


〜忘れる必要は無い、
でも、
いつまでも縛られていてはならない。〜


その意味を含んだ言葉が、
徳幸には見当たらなかった。


トイレに行った徳幸は、
リビングから聴こえる、茜の弾くピアノの音色に導かれ、その扉を開けていた。


「!どうしたの?」

「え、あー。…高校進学おめでとう。」

「あ、ありがとう。」

「なんか、変わった?」

「えー?特に変わらないけどぉ。」

「これからかな?」

「トクは変わったの?」

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