僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
自分よりも、ずっとしっかりしている茜に、

「そんなこと言って、兄貴のことはどーすんだよ!」

と、まるで相談でもするように問いかけた。


「もう、あれはダメだね!まだ、トクの方が見込みがあるよ!」

「そんなこと」

「あるよ!」

「…」

「あの日のトク、カッコ良かったもん。」


それは、タカとの別れに立ち合った時のことだと、すぐに分かった。


「あれはさぁ…」


そして、急にタカの顔が頭に浮かび、話を止めた。


(そうだった。茜が生意気なのは、当たり前だ…)


恋愛に関しては、徳幸よりも、茜の方が先輩なのだから。


この歳で恋をするということは、
その先に進む者達がいても、それは自然なこと。


でもそれは、やはり重大なことに違いなく、

特に、初めての相手というのは、とても大事なのではないかと、

徳幸のように、“その”経験の無い者が、
期待に胸をときめかせ、焦り、時には嘆き、戸惑い、心揺らされるのだろう。


茜にいたっても、
そうなるまでの状況が、どんなものだったのかは知らないが、
それは、その時の茜と相手との問題であって、
今、徳幸が動揺するのは、おかしな話だった。


そして徳幸は気が付いた。


今、波多野に彼氏ができたと言うことは!!
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