僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
「母屋に行かないとなんだ。行くか?」

「あー、じゃあ。」


碧人のあとを付いて防音室を出ると、
二人は玄関に向かった。



「次からは勝手に入って良いから。」


玄関のドアを開け、靴を脱いですぐの所にトイレはあった。


「なんか食うもんねーかなぁ」

碧人が、廊下の奥のドアを開け入って行くのを見届けながら、徳幸はトイレに入る。

そして用を済ませて、トイレから出ると、
碧人に声をかけるつもりで、そのドアの向こうを覗いた。

するとそこに、

「あ。」

さっき、道端で男とモメていた女の姿があった。


「なんか飲むか?」

「え、いや、」


徳幸はなぜかカタコトに。


「ああ、こいつ妹。茜。」

「…ども。」

「やっぱりね。この辺をギター持って歩いてるから、うちにくる人だと思った。」

「え、会ったの?」

「ちっと、迷って…」

「タカと一緒に居るトコに、ボーっと立ってるから、この人、タカに怒鳴られたんだよ。」

「…あの」

「だからあたし“お兄ちゃんの友達だよ”って言って、おさまらせたの。」

「ははは。」

「本当だったんなら連れてきてあげれば良かったね。」

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