僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
皆、シラケていたのではなく、

碧人の唄を、しっかりと聴いていたのだ。


そして、碧人の声に合わせ、
いつしか、
会場には、歌声が響いていた。


1曲目が終わると、
今度は碧人から、きちんとした曲紹介があって、
2曲目へと入った。


これが、今日のライブの、最後となる曲だった。


歌詞の分からない生徒は、その唄を噛みしめるように、
碧人の歌声と共に、聴いてくれていた。


そして、会場の隅で、
関係者として立っている波多野を見ると、

なんとなく、

瞳が潤んでいる様に見えた徳幸は、

慌てて、碧人の方を見た。


碧人は、気が付いていたのだろうか?


会場からの、リズムに合わせた手拍子に乗せられて、
ただでさえ、碧人の感情は高ぶり、
その歌声は、さらにパワーアップしていた。


どちらに反応しているのか、分からなかったが、

演奏終了後、
姿を見せた波多野の目が、
赤かったことには、気が付いたに違いない。


そして、夏休みへと突入した。
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