僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
「うるせ!ほら、行くぞ!」

「あ、う、うん。」


先を歩く徳幸の背中が、
なんだか大きく見えた、
今日の茜だった。


「なんか、今日のトク、かっこいい〜!」


そんな、いつもの調子の茜に、
静かにトクは言う。


「そーゆーこと、あんま言わない方が良いよ。」

「?」

「勘違いするヤツいるから。」


碧人に言われた言葉が、頭を過ったのだ。


確かに、
茜が徳幸を好きだと言ったのには、理由があったし、
そのことは理解もしていた。


そしてそれは、
碧人も分かっていると思っていたし、
今も、そう思っている徳幸。


でもあの日、防音室で、徳幸に詰め寄った碧人は、
茜の兄だった。


それなのに、さっき、
繋いだ手の温もりに、何かを、感じさせられていたなんて…

自分でもコントロールが難しい、お年頃の課題だ。


もちろん、下心などはない!

これは、ハッキリと言える、自信がある!


モテ遊んでいるつもりもない!

なのに、

「勘違い?あたし、本当のこと言ってるだけだも〜ん!」

「なんだそれ…(これはやっぱ、俺の責任なのか?)」
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