僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
「…全然!そんなこと言ってくれた人、他にも居たもん。」

「…」


さすがに、
この言葉にはくじけたかと、
そう、思った時…


「歌ったヤツはいた?」


徳幸は、たずねた。


「え?」


その反応に、
“いねーな!”と確信した徳幸は、
茜の手を掴み、リビングへと入って行き、
ソファーに座らせた。


そして、フォークギターを手に取って、
茜の前に座り、
チューニングをはじめる。


「文化祭、ダメになっちゃったから。」

「ヒュー!」

「この曲は俺の選曲なんだ。」

「ふーん。」

「去年こっちに戻って来て、初恋だった人の今の境遇を聞いた時、ふと頭に浮かんだ曲なんだけどさ。」

「ふーん。」

「そしたらなんと、ここにも同じ様なヤツが居た。」

「…あたし?」

「でも不思議なんだ。碧人が唄うと、波多野にもあてハマるんだよ。」

「トクが唄うと?」

「オレらにハマる。」

「…オレら?」

「コイツとコイツ」


徳幸は、自分と茜を指差した。


「あれ?初恋の人は?」

「彼女には、他にも側に居てくれるヤツが居る。それに、いっぱい泣いたってさ!誰かさんと違って…」

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