僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
「え?」

「聞いたんだ。君が全然泣かなかって話…」


ポロロローン…

「うしっ!じゃあ、いきまます。」


そして、徳幸は唄いはじめた。


ソレは、何度も聴いて知っていた茜にとって、
いつもは、聴き流してしまているだけの曲だった。


でも、あんな話を聞かされたあと、
改めて、
歌詞を噛み締めながら聴くと、

“自分のことを、こんな風に考えてくれてるんだ”と、

今、目の前で唄っている、
“トクの気持ち”に置き換えられて伝わってくる。


勘違いも甚だしい…とはこの事。


でも、今の二人には、そんなのは関係なかった。


そしていつしか、
茜の目には、
みるみる涙があふれはじめ…。



曲が終わって、一息吐くと、

徳幸は、茜にこう言った。


「いつか、作詞作曲、俺!ってヤツを、聴かせてやんよ!待ってろい!」


と、照れ隠しをする徳幸に、

「グスンっ!へんなタイトル!」

と、涙が零れるのをおさえながら、
茜も可愛く強がってみせる。


「タイトルじゃねーよ!」


まったく、素直じゃない。
< 190 / 202 >

この作品をシェア

pagetop