僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
「すぐに知らせようとしたんだけど、おまえん家の電話、他の家の番号になっててさぁ」

「あー、東京にいた。」

「そっか。携帯番号知らなかったから、そのうち連絡来るだろうって思って」

「教えてなかったっけ?」

「おまえの婆ちゃんに聞いてもよかったんだけどさ、今更おまえに知らせて、どうなるのかなあって…」

「え、あー、そうだなぁ。」

「やっぱ、知っときたかったか?」

「…べつに…」

「でも、東京に居たんなら、線香でもあげに来れたもんなぁ?」

「俺は、ヤツとは関係無かったし。」

「だよな!ま、俺は行ったけど。」

「は?」

「俺、バレー部の先輩通して、和解させてもらったんだわぁ。それで。」

「へえー。」

「小学校の時、恩田みっこちゃんのことからかって、あの人にシメられてから、恐いイメージだったけど、実は…良い先輩だったっつーか…」

「で?恩田さん、今どーしてんの?」

「んー?よくわからないけど、もう一人いつも一緒に居た、園田って男、覚えてるか?そいつがベッタリ付いてるよ。噂じゃ、この時をずっと待ってたって話だぜ。」

「ふっ、そうか…」

「みっこちゃんが後追い自殺しないよう、見張ってるんだって噂もあるけど。」

「…。」


徳幸の場合、
懐かしい名前を聞いて
“思い出にひたる”どころか、

少しも暖かみの感じられない、
重く、皮肉な現状を耳にすることとなった。

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