僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
「うぃーす。」

「おお。」


その夜、徳幸は梅原に電話をした。


「何してんの?」

「電話。」

「…梅、相変わらずバカだろ?」

「そーでもないよ。」

「俺さ、今バンドやってんだぁ。」

「えー!あのスポーツ少年が、今じゃ文化系っすか!」

「これがハマってさ、日々練習してんだわ。」

「もしやピチピチ短パンでステージ走り回り系バンド?」

「ちげーよ!」

「じゃあ奇抜な感じの」

「ハードでもパンクでも、デスメタルでもないから!」

「どーいった軌跡で?」

「話せば長いし、話したくもないんすけど。」

「ま、人生十五年も生きてりゃ、色々あるかぁ。」

「まあな。」

「意気消沈?」

「まさか!」

「そっすか!」

「梅から、そんな四文字熟語が出てきたことに“まさか”だよ!」

「だから、相変わらずバカじゃないって言ったじゃん!」

「ふっ。…今度、マジでそっち行くよ。」

「来い来い!俺も見てみてーよ。バンドマン木村を!」

「ギターリストと言ってくれ!」

「ははは、すっかりナマリ抜けたなぁ。」

「ナマってねーよ!」

「いや!あの頃おまえ、博多弁がでてたって!」
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