僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
「残念だったな。波多野の夢だったんだろ?」

「…あたしには、来年も再来年もあるから。」

「一番悔しい思いしてんのは、野球部の三年だよ!」

「お、光一っちゃん!」

「おまえのそれ、何?」

「グァバ?」

「そんな色?俺コーラーにしよっ!トク!待ってて!」

「ああ。」


光一が買って、こっちに向かってくると、波多野達は歩き出した。


「あのさ、」

「ん?」

「波多野がブラバンやってる理由なんだけどさ。」


光一は、少し歩く速度を落として話はじめる。


「弟が野球やってたからなんだ。」

「やってた?」

「事故でな…今は居ないんだけど。」

「!」

「生きてりゃ、たぶん目指しただろうな…甲子園。」


徳幸は驚いた。

話を聞くまで、波多野に、そんな陰ひとつ、感じることがなかったのだから。


「もう、三年前のことだけどな。」

(三年経てば、あんな風になれるのか?)

「でもさ、それ」

「なんだよおまえら。なんか買い行くんなら言えよ!」


碧人とコービーが、ビショビショで駆け寄ってきた。
< 36 / 202 >

この作品をシェア

pagetop