僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
「今、碧人の妹が来てキーボードやったりしててさ、波多野のパートについて、なんか偉そーに」

「本当!?」

「え!あ、う、うん。」

「……じゃあ、あたし行かない方が良いかな。」

「?…なに?どうしたの?」

「うううん。ちょっとね…」


そんな波多野の表情は、
なんとなく嬉しそうに見えた。


「よく分かんないけど。波多野が気を使うことはないんじゃん?」

「別に気なんか使ってないけど。」

「だって、波多野は(俺と違って)正規メンバーなんだし。」

「…あのバンドは、もともと茜ちゃん中心に始まったものなの。」

「は?(え!じゃあ、もともとのメンバーだったってこと?)!」


徳幸は、さっきの嫉妬を恥ずかしく思えた。が、

そんな時

「でもそれじゃ、学校の行事には参加できないでしょ!今、あたしは茜ちゃんの代役ってワケ!」


ただでさえ、好意を抱いている波多野から聞かされた話に、

自分の置かれている、立場や存在とも、同盟的な共感をおぼえ、

徳幸はすぐに救われた。


それどころか、
単純に、嬉しかった。


バンドの成り立ちについてなど、
そんなことは、どうでも良く…

そんなノリで絶好調のまま、文化祭はやってきた。


初ステージとなるこの日を、メンバー全員、どれだけ待ち望んだことか…
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