僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2
「一番ダメージを受けたのが…茜ちゃんだったの。」

「え!」

「茜ちゃんと弟はね…ふふっ。両思いだったんだぁ!お互いの気持ちも、ちゃんと伝え合ってたんだよ!小学生が何言ってんだって思うでしょ?でもアレは、今、思い返してみても、恋人同士って感じだったなぁ。」


徳幸は、なんとなく、その様子が分かる気がした。


もちろん、茜達のことは見たこと無いが、想像ができた。


そして、小学生時代の、恩田未知子と北村恭一が、頭に浮かんでくるのだった。


「…好きな人が死ぬって、どんな感じなのかな?」


ふと、徳幸はつぶやいていた。


「あの頃の茜ちゃんは、とにかく大変だったの!すっかり塞ぎ込んで、食事も喉を通らないくらい…まさか自殺を考えてたわけじゃないと思うけど、このままじゃ死ぬんじゃないかって!受験の後の出来事だったから、もう今の学校が決まってたでしょう。でも、母と同じでピアノに触れなくなっちゃっててね。」

「よく立ち直れたな。」

「地元の中学に通えば良いって言ってたんだけどね、小学校からの友達の中に、本当なら居るはずの弟はいないワケでしょ。それもツライだろうって…だから、必死で鍵盤を叩かせたの。」

「あーそれでバンド。」

「弟が好きだった歌をやったりしてね!」


何も知らなかったとは言え、茜のことを毛嫌いしていた自分を、反省する徳幸は、あの“お姫様態度”のルーツも理解できた気がした。


「でも、どうだったのかな?あたしも茜ちゃんも、皆に気遣われてきたけどさ、あたしと違って、茜ちゃんにはさ…友達っているのかなぁ…」
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