達人
「達人!」

俺は即座に姿勢を正す。

「達人、どうか俺を弟子に!達人の弟子にして下さい!」

普段の生活さえも修練。

同じ武道家として、達人のその意識の高さに感銘を受けた。

「どうか!」

「……」

達人は相変わらず好々爺の顔で茶を啜る。

「丹下君…達人などという呼び方はやめて下さい…私とて齢七十にしてまだ修行の身…他人に物を教えられる身分ではありません…故に」


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