達人
達人は湯飲みを置いた。

「教えません。指導もしません。ただ、私と共に修練を積む…いわば兄弟弟子としての間柄で構わないというのならば…」

「……」

これ程の意識の高さでありながら、まだ志半ばとは。

ますます頭が上がらない。

最早平伏というより土下座だった。

畏怖というより服従だった。

「何卒…何卒ご指導ご鞭撻の程…よろしくお願い致します」



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