ラブ@メール


レンは私の手を強く振り払うと、今度は私の手首を掴んだ。



痛い。


痛いよ。



でも、ハルの口から流れる血を目にした瞬間、そんな痛みも言葉も消えた。



本当はハルの元へ駆け寄ってあげたい。


傷を癒やしてあげたい。


そばにいてあげたい。



ひとりでがんばってきたハル。


傷ついてしまったハル。


私を求めてきたハル。



次々と浮かぶ。



それなのに



ハルに抱きしめられた感触。


感じた胸の痛み。


ハルの想い。



強く握られた手首から、消えていく。




これ以上、ハルを傷つけたくなかった。


それだけだったのに…。


< 121 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop