ラブ@メール
それから20分もしないうちに、咲の家のお手伝いさんが家に来た。
黒いスーツに身を包んだその人は、いつもお世話になっております、と頭を下げた。
私は、複雑な気持ちのまま、マゼンダピンク色の携帯電話を渡す。
そのとき、ハートのデコレーションシールが取れていることに、今頃気が付いた。
それにも全く気付かないくらい、私は一生懸命だった。
そして、2ヶ月間、ハルと私を繋いでいたものがなくなった。
気が付けば、あんなちっぽけなものでしか繋ぐことが出来なかった、私とハル。
でも、実際は繋がってなんかいなかった。
その後、咲とハルのメールのやりとりにより、今度の週末にダブルデートをすることが決まった。
そして、出会ったんだ。
―――あなたに。