ラブ@メール
車に乗り込むと、咲はいつものようにハイテンションで喋り出した。
「ねぇ、見て!ハルがこんなメールくれたの!」
私がこの前まで持っていた、マゼンダピンク色の携帯電話。
ハートのデコレーションシールは、もうはがされていた。
代わりに、ピンク色の豹柄のデコレーションシールが、隙間なく貼られていた。
咲に向けられた画面に目をやる。
彼女は、保護したメールの数々を私に見せてくれた。
【週末、楽しみだな】
【風邪ひくといけないから、あんま薄着して来んなよ!】
【明日、学校でな】
保護マークだらけのメール。
その中に埋もれるようにして、保護マークがついていないものも、ちらほらあった。
咲が一瞬だけ、画面に表示させた文字。
私はそれを見逃さなかった。