ラブ@メール
「おはよ、桃。」
バスに乗り込んできた彼に、視線が集まる。
私と同じくらいの女子高生たちや、ハンドバッグを肩に掛けているOL。
隣の優先席に座っている、おばあちゃんまで。
彼の美しさに目を奪われている。
真新しい白シャツのボタンは、ふたつ開けられていて、首元にはお揃いのネックレスが光っていた。
「おはよ、レン。今日から夏服なんだね!」
運転手がブレーキをかけ、体が傾いた。
彼は、私が座っている席の前の吊り革に摑まり、私に覆い被さるような姿勢になった。
この体勢に何度もドキドキしてしまうことを、彼は知っているのだろうか。
「うん。桃もそうじゃん!かわいいよ。」