恋 理~renri~
何よりも大切な亜実のコトを…、最低すぎる・・・
そんな事を考えていた嫌悪感から、俯き加減で溜め息をついていると。
ピンッ――
「イタッ!!」
眼前に手が伸びてきたと思えば、おでこに鈍い痛みが走った。
「な~に辛気臭い顔してんのよ!
せっかく幸せを掴んだヤツの顔には見えないわよ?」
本日二度目のデコピンを、今度は向かいに座る泉からお見舞いされたのだ。
ていうか大和のデコピンより、泉の方が痛いって有り得ない!
「昔からそうだけど、アンタは石橋を叩いて渡り過ぎなの。
もっと人に頼って、もっと楽に生きなさいよ!」
「でも・・・」
「それにデートの時は、遠慮なくウチに頼んで良いから!
ウチのお母さん、亜実ちゃん大好きだから喜んで面倒見るわよ?」
「いいの・・・?」
実家暮らしの泉の家には遊びに行っていて、数え切れないくらいお世話になっている。
だけど私としては、やっぱり後ろめたい気がしてならない…。
「ハッ、女に二言は無くてよ!
遠慮するなんて、図々しい真咲にしては珍しいわね?」
「そうかも…、ありがと」
「べっつにー、亜実ちゃんの為よ?」
意地っ張りな彼女の照れ隠しなのか、冷酒をクイッと一気飲みしていて。
こんな親友の本質を見抜いていた大和に、また会いたくなってしまった…。