恋 理~renri~
誤 解
願望だけが募る中で、それ以来、大和はおろか泉とも会えない日々――
会えるどころか、声すら聞けていなかった。
アノ日から、もう1週間以上も経つのに・・・
あまりの仕事の忙しさ具合に、気が回らなくなっていたのが本音だった。
当社は9月決算に向けて、営業部はいつも以上にノルマが高く掲げられていた。
3半期報告会の時に、部内で一番の成績を収めた2課への期待はなおさら。
とにかく目まぐるしく、日々が過ぎていくだけに感じていた。
亜実のお迎えがある私は、必然的に自宅へ持ち帰る仕事は嵩んでしまうし。
食事すらまともに取れない中、亜実の面倒をみるだけでキャパは一杯だった。
…なんて、ただの言い訳なのに・・・
泉の方はメールの返信が遅れても、私が忙しいと理解しているから良いけど。
大和は…、ううん、電話やメールする時間なんて時間を削れば出来るのに。
だけど向こうからの連絡も来ないし、どうして良いのか分からないのが本音。
そうして大和のことを考えれば、途端に仕事が手に付かないという状態で…。
だから私は、山積している仕事にひたすら没頭していた。