恋 理~renri~
出るのが怖いのに…、それでも携帯に手を伸ばしてしまう私。
涙をグイッと豪快に拭ったあと、意を決して通話ボタンを押した。
「…も、もしもし?」
第一声から声が震えて、思いきり上擦ってしまったけれど。
「真咲…遅くにゴメン、寝てたよな?」
その声色を寝ぼけていると思ったらしく、開口一番に謝ってくれた大和。
ふと時計に目を向ければ、日付も変わって午前1時を過ぎていた。
「ううん、起きてたよ・・・」
だけれど大好きな声が電波を通して届くのに、どうしても素直には喜べなくて。
とても明るいトーンで話が出来ず、力なく答えてしまうと。
「…何かあったのか?
もしかして…、泣いてた?」
「・・・っ」
営業畑で生きる彼には、電話を通してでも私の変化を察してしまうらしい。
「違うよ・・・
何も無いし…、大丈夫だよ?」
泣いてたのを悟られたくなくて、これでも必死で我慢してるのに…。