恋 理~renri~
進 歩
数式は必ず答えに辿り着くのに、感情は自分の事でも分からない…。
泉の言葉を借りると、レンアイって楽じゃないんだね・・・
「まっ、明日は私も行くからね」
「はぁ!?な、なに言ってるのよ!
何で話し合いにまで、泉が…」
プシュッと、小気味良い音が電話口を通して聞こえてきたので。
完全に目の覚めた泉は、どうやら缶チューハイのプルトップを開けたらしい。
「バカね、真咲と川崎さんのコトじゃないわよ。
亜実ちゃんのコトはどーすんの!?」
「・・・あ」
やっぱり私は抜けてるね…、大切な亜実を蔑ろにするなんて・・・
いつもながら怒鳴るような口ぶりに、すっかり言葉を失ってしまう。
「とにかく、明日は早退するからアンタもね!」
そのまま缶を傾けてグビグビ煽ったのか、ダン!と机に叩き置く音まで届いた。
「…ありがと」
滅多には言わないけれど、ポツリと紡ぎ出した泉への感謝の言葉。
あの提案がなければ、また亜実に苦しめさせる事になるトコロだったから…。