恋 理~renri~
ハイヒールで浮腫んだ足を、楽なドライビングシューズへと履き沈めてから。
ブラックのパンツスーツから、シンプルなニットとシフォンスカートに替えて。
ヘアクリップを外してアップヘアから、緩めのストレートに戻して。
キッチリとしたメガネを外せば、コドモっぽく見える本当の私になる・・・
「ハァ…」
更衣室のミラーに映る自分の姿を見ながら、重苦しい溜め息をついた。
すべてを脱ぎ終えたあとは、いつも脱力感に襲われるけれど今日は違う。
仕事を終えてホッとするどころか、鼓動の高鳴りが収まらない・・・
もうすぐ大和に会えるという嬉しさと、会えた時を考えると怖さも募って。
好きになるほど逃げたくて…、信じたいのに怖気づく…――
どうしようもない気持ちが渦を巻いて、それでもやっぱり好きで好きで。
仕事のように勢い良く向かえ無い事が、もの凄ーく“オンナ”に思えてイヤになる。
大人になればなるほど、抱える物が増えて立ち向かう事が難しいのね…?