恋 理~renri~
プランナーさん方の誘導と補助を受けて、私は大きなブランのドアの前に立った。
「あー…、やっぱり緊張するな」
「ふふっ…、私も心臓バクバクなんです」
深呼吸を繰り返す人の隣に立つと、今さらすぎる緊張が増しているけど。
笑い合ってから、大和よりもさらにガッシリした腕へと手を掛けた私。
「真咲ちゃん、幸せになるんだよ」
「はい!ありがとうございます」
優しい表情を向けてくれるのは、幼少から通ったライドのマスターだ。
父という存在無く育った私は、バージンロードをマスターと歩きたいと思ったの。
暫くするとガチャッと大きな音を立て、開かれた先へと2人で進んで行く。
皆の表情と光景を噛みしめるように、一歩、一歩…と愛しい人の許へ・・・
「頼んだよ」
「ありがとうございます」
柔らかな笑顔で待つ大和の許へ辿りつくと、マスターの言葉に泣きそうだったけど。
差し向けてくれるその腕を離さないように、ギュッと強く握って笑顔を返したの…。
「あなたはこの者と結婚し、神の定めに従って夫婦となろうとしています。
あなたは、その健やかなときも、病めるときも、喜びの時も、悲しみの時も、富めるときも、貧しきときも。
これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、そのいのちのかぎり、堅く節操を守ることを約束しますか?」
「はい、約束します――」
貴方から填めて貰ったマリッジリングも、優しい誓いもキスも、その何もかもが。
これからの幸せな道を作る為の、はじめの一歩だから・・・