ポケットの中の天球儀
「宇宙船…?UFOの事?」
怪訝に問い掛ける真琴に深沢は大きく頷く。
「こういった言い伝えや伝説には、大抵宇宙船が関係してるんだ。有名な所ではエジプトのピラミッドやナスカの巨大な地上絵…数え上げればきりがない」
「それって、みんな宇宙人が関係してるって言うの?今回の言い伝えも?」
「俺はそう信じている。光の船って言うのがどうも怪しい。あの時代の人が宇宙船を見たら、きっとそう表現するに違いない」
「ふうん……」
背中越しに熱く語る深沢とは対照的に、真琴は気持ちにはどこか冷めたものがあった。
深沢の言うように、歴史の中の出来事や神話に宇宙人が関わっていたと言う説は聞いた事がある。真琴自身、テレビでエジプトのピラミッドと宇宙人とを結び付ける番組を見た事があり、その時は歴史の教科書には書かれていないミステリーに好奇心をくすぐられた。
でも、あくまでもテレビの中の物語であり、訪れた事も無い遠い国の話である。
自分の生まれ育った身近な場所で、そんな壮大な出来事があったとは想像し辛かった。
そんな真琴の気持ちを察したのか、深沢がぽつりと言った。
「4000億…」
「え?」
「銀河系に存在する星が数さ…これをドレーク博士の方程式にかけて計算して行くと…生命がいて今も文明を存続させている星の数は最高で10億。凄い数だと思わない?」
「最低では?」
「ひとつ…この惑星だけさ」
真琴が何気に投げかけた質問に、痛い所をつかれたとばかりに深沢が答えた。
二人の間に沈黙が訪れる。
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