銀の月夜に願う想い
裏切られても、それでもやっぱり僕はレリアしか愛していない。他の女なんて目に入らない。
レリアしか要らない。


「僕もバカだよな……」


後から後悔することもあると、知っていたはずなのに。一番大事なものを手離してしまうなんて。



でも、今さら気づいても遅いから。もうレリアは僕のものじゃない。


『私ね、あなたのこと好きだって気づいたの。今更だけれど。……二年も相手にしなかった女なんかに、もう興味なくなった?』


初めての彼女の告白。その時期は確か、彼女がもう振り向いてくれないかもと諦めていた時期だ。
諦めた方がいいと思っていたのに諦めきれず、これでダメだったらレリアをメレイシアに返そうと思っていた矢先の告白。


嬉しくないわけがなかった。嬉しすぎて、ずっと大事にしようと決心した相手だったから。
……そのわりにやることはしっかりやったけど。



実は僕の最初の相手はレリアで、しかも彼女も初めてだったから散々だった。
レリアは痛いと喚きに喚き、僕はどうして良いか分からず困惑するばかりで。


その後はまあ、レリアが快楽を覚え始めたから前みたいに夜相手してくれたけど、初めての時みたいに苦痛だけの行為だったら絶対にヤらせてなんてくれなかったと思う。



でも、それまでは僕がレリアのワガママを何でもかんでも聞き入れるのが可笑しくてワガママ言っていたくせに、いつの間にか彼女のおねだりの仕方がキスになった。

おねだりと言っても、媚を打ってくる女たちみたいに何が欲しいこれが欲しいとかじゃなくて、専ら町に行きたいとか何がしたいとか。


貴族以上の身分で花や何かを自分自ら栽培する女なんかいない。あれはレリアの庶民的な部分の現れだ。


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