銀の月夜に願う想い
城の近くにある湖。そこにルゼルはいた。
その後ろではセヘネやエメフレア、国王とルゼルの母親さえいる。



そんな重役たちの前、ルゼルは湖と同じ色をした瞳を細めた。



「ロアル、そろそろ話してもらえない?」


ルゼルの目の前には無表情の金色の神。
彼は湖水の上に浮きながら首を傾げる。



『さて、何処から話したものだろうね』



目を伏せるロアルの雰囲気に圧倒されている人間たちは、一定の距離から進むことが出来ないでいる。

メレイシアと対峙したことのあるはずの国王でさえ、彼女の時とは言わないが、結構な距離を保っている。



『レーアは……元々こっちの世界の子なんだよ』


ポツリと呟かれた一言にルゼルは耳を疑った。


「こっちの世界?」

『そう。レーアは元々、僕たちと同じ光の神の分類に入る子なんだよ』



その言葉に思わず息を呑んだ。
ロアルの顔に影が落ちる。




『レーアはね……人間と光の神の合の子なんだ』

「は……?」


さすがにこの言葉には言葉を失った。

レリアが人間と神の……合の子だと?



「ロアル……それは…」

『冗談なんかじゃないよ。ちゃんとした事実だ』

「……レーアの髪と目の色が金色なのって……」

『光の神の要素を受け継いでいるからで違いない』



あの金色は人間世界で珍しいと思っていたら。まさかそんなカラクリがあったなんておもっても見なかった。





……………。

でも、じゃあ、もしかして。


あの時エメフレアはレリアを見て「フィリーナ」と確かに口にした。

それはもしかすると。



『そう……レーアの母親は、お前の婚約者の姉君……フィリーナで間違いないよ』



……時に運命は残酷らしい。
レリアの母親が、セヘネの姉などと。



「セヘネに姉がいたなんてこと、聞いたことないけど……」

『当たり前だよ。婚約者殿とその人は二十も年が違うしね。人間として生きていたら……もう四十歳くらいじゃないかな』

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