銀の月夜に願う想い
国の端にある暗黒の森とも絶望の森とも言われるメレイシアの森の中にある古屋の中に、レリアはいた。


部屋には火が灯され、寒くないように暖が入れられている。



部屋の中のソファに座りながらお腹に手を当てて目を伏せていたレリアのそんな姿を、一対の目がじっと見ている。


「……なぁに、お母様」

『………』


何か言いたげな視線を受けてレリアは目を開けた。



ここに帰ってきて一週間、メレイシアはレリアを怒ると言うことはなかったが、常に何か言いたげにしている。


それがレリアの腹の中の子供についてなのだということをレリアは重々承知している。



「私がやったことに怒りもしない、クーやロアル様に殴り込みに行く気配もない……そして堕ろせとも言わない」


何をお考え?
と尋ねれば、黒い女神は物憂げに首を傾げた。



『レーアに手を出さぬ約束を破った愚かな狼をどう八つ裂きにしてくれようかと思案しているだけだ』

「でしたらもう煮るなり焼くなり好きにしているはず。それでもあなたが手を出さないで大人しくしているのは何故ですか?」

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