銀の月夜に願う想い
気の早いメレイシアなのだから。まだ行動を起こしていないことが逆に恐ろしい。


「クーに手を出したら私が許しませんよ?」

『……承知しておる』



諦めたような溜め息をついて、メレイシアは切れ長の瞳を細める。


『そのような成り損ない……要らぬと言うに』

「私にとっては大事な子供なの。要らないなんて……思わないわ」



むしろ欲しくて欲しくて堪らなかった命。それが自分の中に宿っていることに幸福しか感じない。


不安など、この幸せに比べたらちっぽけなものに過ぎない。


「誰にも私の幸せを摘み取らせはしないわ……」



やっと手に入れた権利。彼と自分を繋ぐ唯一の繋がり。

これだけは絶対に、なくしたりしない。





自分の腹を愛しそうに撫でるレリアを、メレイシアは切なげにみつめていた。


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