銀の月夜に願う想い




大事なものはすべて捨てた。


自由も、楽しさも、幸せもすべて。




それでもなお私が守りたいのは、やっぱりあの人との子供だからだと思う。


大事なのはあの人だけだったから。私は、あの人と私を繋ぐものが欲しかっただけ。


だから子供の存在を利用したのかもしれない。


でも、いつのまにかそれ以上に大事になったその存在。
今になってはもうどちらが大事なのかなんて決められない。






ただ母親の存在を探す頼りない子供は、必死に手を伸ばす。

それに指を絡ませて微笑む私。


今大事なものは、この存在なのかもしれない。


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